スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

prayer_memento mori

tidal flat-01
tidal flat-01 posted by (C)トロイ


 私は荒涼とした広大な干潟を彷徨っていた。

 どこまでも低く垂れ込めている鉛色の雲が重い。その重さに私は心身ともに押しつぶされそうになっていた。


雲
posted by (C)トロイ


 地表は吹き荒ぶ寒風にさらされて渇ききり、干潟は手の甲の皸(あかぎれ)や霜焼けのようにひび割れていた。どこまでも、果てしなく…。

 剃刀のような鋭い寒さにこめかみが痛くなる。錐のように寒さが首筋に突き刺さってくる。
 早く歩こうとしても、重たい向かい風に押し戻されてしまい、私は思うように前に進めなかった。

 遠くに風除けになりそうな岩が横たわっている。その岩陰に黒いものが見える。
(あそこなら、風を防げる)
 自分にそう言い聞かせながら、私は必死に歩いていった。

 岩陰に近づくにつれて、黒いものが布だと分かった。黒い布の端が虚しい音を立てながら寒風にはためいていた。

(人だ!)

 その人は頭から薄汚れた黒衣をすっぽりと被ったまま岩陰に頭部を凭せかけ、小さく身を屈めていた。
「あの~ぉ」
 背後から、ためらいがちに声をかけたが返事がない。
「どうかしましたか?」
 もう一度声をかけながら、私が黒衣の左肩の辺りに右手をかけた瞬間、それは私の足元にガクっと崩れ落ちた。

 足元でかすかに風音を立てて震えている黒衣の両袖口から、重さを失った両手の白骨がはみ出していた。
 両手の指をしっかりと組んで、その命の灯火が燃えつきるまで祈りを続けていた、その形のままに…。


tidal flat-02
tidal flat-02 posted by (C)トロイ


memento mori.
carpe diem.(今を楽しめ)





追記:

*私のHP『夢幻のスペース・オデッセー』↓

   夢幻のスペース・オデッセー

  HPにも来ていただけると嬉しいです。


*心象風景の画像のある「夢幻のOdyssey(オデッセー)」と「for BLOG_心象風景」はこちらです。↓

   夢幻のOdyssey(オデッセー)

   for BLOG_心象風景

そして、↓

   『for 「575の宙」』

他の画像も見に来ていただけると嬉しいです。


Thank you in advance for your visit.
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

KJYD

Author:KJYD
来てくださったかたがたに、そして『拍手』をしてくださったかたがたに、心から

Alles Gute!

どうもありがとう。


*東京散歩の写真、「心象風景」や「ショートストーリー」そして「575の宙に」などに用いた画像など、『フォト蔵』にアルバムとしてアップしてあります。
よろしくお願いいたします。

Thanks a lot.


お願い:

*フォト蔵の画像保存機能の不具合により、ブログに用いた画像の一部が非表示になってしまうことが度々あります。

 非表示になってしまった全ての画像をフォト蔵で再保存してブログに再表示させても、また、他の画像や同じ画像が非表示になってしまいます(T_T)

 非表示になっている画像がありましたらコメント欄などで教えていただけると有難いです。

 よろしくお願いいたします。

最新記事
カテゴリ
最新コメント
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。