ETERNITY for SALE (Part Ⅱ)_HELP!

HEAT ISLAND_for BLOG[ETERNITY for SALE]
HEAT ISLAND_for BLOG[ETERNITY for SALE] posted by (C)トロイ


 "Eternity"という甘い言葉の誘惑に引っかかって、オレがCGのような世界に閉じ込めれてからどのくらい経ったのか見当もつかない。
 なにしろ、ここには夜というものがない。
 オレの腕時計があるじゃないかって?それが役にたてば、ぶつくさ言いやしないよ。時計は12時で止まったまま。それが12時なのか、24時なのか。ともかく「時間」を計る物差しとしてはクソの役にも立ちゃしないのだ。

 "Eternity" というだけあって、腹も空かなきゃ、喉も渇かない。
 明るさだけはきわだっているが、それが太陽光によるものとは到底思えない。なぜここは白熱のように明るいのかもわからない。人影がまったくないのも不思議だ。

 この状況から抜け出す方法がどこかにあるはずだ。もとの世界に戻れる時間のトンネル、電話のサーキット・・・そうか、電話だ!

 公衆電話は見つからなかったが、ある白い建物の壁面に液晶のようなパネルがはめ込まれているのに気がついた。
 パネルにはなにも映し出されていない。オレはパネルを右手の拳で軽く叩いてみた。
 パネルの画面にノイズが走り、それが治まると「ENTER」と出た。
 そこをひとさし指で押すと、画面の中央付近に小さなクルスが二つ現れ、「この二つの指標を凝視してください」との指示が出た。クルスを凝視すると、「確認中」のメッセージが出て、コールセンターのようなところにつながった。

 表示されたメニューの中から「HELP」をオレは選んだ。「おつなぎします」のメッセージが流れ、画面にキーボードが表示された。
「やった!」オレは両手でガッツポーズをした。
「ここから抜け出す方法を教えてくれ。変な老人の言葉にのせられて、わけのわからない、こんなところに閉じ込められている」

 敬語もくそもありはしない。オレは感情をぶつけるようにして、人差し指でキーをたたいた。オレは驚いた。キーを叩くのとほぼ同時に、まったくスムースにそして正確に言葉が変換されていく。
 必要最小限のことを書きこんで、画面の右下にある「ENTER」にタッチすると、返事がすぐに来た。
「わたしもよ。だれもいないの。こわい。こわくてさみしい…、たすけて!」
「キミはどこにいるんだ?」
「わからない。CGの世界みたいなところ。周りは高いビルばかり。いつも昼間で、時間がないの」
 オレは愕然とした。
(いったいどうなっているんだ。オレとまったくいっしょじゃないか)
"HELP ME!"とオレは書き込んだ。
「たすけて~!」と彼女が書き込んできた。

 すると、青い空一面が「HELP ME!」と「たすけて~!」の文字で覆いつくされ、周囲のビルが「HELP ME!」「たすけて~!」と男女の声で連呼をし始めた。

 声は周囲のビルに木霊しながら、次第に大きくなり、ヒステリックさを増してきた。
 それとともに、降り注ぐ光の量も強さも増してきた。

 オレは両耳を手のひらで覆い、目を閉じてその場にうずくまってしまった。
 目を閉じていても、オレを包みこむ空間の光の強さは瞼を通して相変わらず伝わってくる。


 やがて、光が次第に弱くなっていくのをオレは感じた。

 目を開けると、周囲は既に暗くなっていた。ビルも暗いままたたずんでいる。
 男女の声は、オーロラのような光を帯びつつ、揺れながら次第に遠のいていった。

 遠くで、やさしく誰かが呼んでいる。あの女性の声なのだろうか。いや、違う。その声にはどこかしら聞き覚えがあった。

 その声に応えるかのように、かつて二人で見た珊瑚礁の風景がオレの脳裏に浮かんできた。

   「…beyond the reef…beyond the reef…」

 オレの意識も、もうひとつの"Eternity"の世界へ、彼女のいるところへと遠のいていった。



追記:

*私のHP『夢幻のスペース・オデッセー』に載せたものを少し手直ししました。

   夢幻のスペース・オデッセー

  HPにも来ていただけると嬉しいです。


*心象風景の画像のある「夢幻のOdyssey(オデッセー)」と「for BLOG_心象風景」はこちらです。↓

   夢幻のOdyssey(オデッセー)

   for BLOG_心象風景

他の画像も見に来ていただけると嬉しいです。

Thank you!

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