φBrain文学賞楽選記念作品 戯作 旧式言語空間飛行遊戯

   戯作 旧式言語空間飛行遊戯 

  φBrain_labyrinth
φBrain_labyrinth posted by (C)トロイ

 今は昔 
 東京は原宿の腹空き族を相手にして春夏冬二升五合と言われていたクレープ屋の奥方に和風の焼餅で焼香していた将校シンプトンは葛飾・柴又で興行中の車座の虎として桜の宙をサイケに飛んでいる許婚のマーマレードが大きなダイヤモンドを身につけてこれ見よがしのお洒落度なのを目にしたとき彼女が実はグラント将軍の末裔でハンサムと評判のケーリー大使館員を敵ではないかと疑いながらも切手も切れない間柄になっている英国生まれで巴里在住の元バレリーナのコッペパーンのまたの姿だと気がついた。

 巴里の屋根の下で目が覚めた将校シンプトンはカフェオレに浸したバケットを頭から頬張ったあと、バスタブでジットしながらいい気分に浸っているうちにお伝の蒲鉾にされてしまい狭き門に乗り捨てられていたオート三輪の車輪の下でリトマス試験紙をマンホールにつけて青くなったり赤くなったりしつつ人々にヨイトマケにされていた。

 将校シンプトンの友人である伊太利屋のイタロは明るい太陽の下で金色に輝く小麦色の肌の刈り取りに目借時の筈なのに昨日・今日・明日と妊婦ソフィアに情痴するほどの老練な男だからこそモラビア製のBBの鉛筆は書きやすいと言って憚らない野郎どもが女たちの間で最近流行しているメプリ現象によって誘惑されて棄てられて泣きをみた揚げ句にチープなトリックを売り物にしているクリティカルなトリスを自棄酒代わりにする時代なのだからと言って将校シンプトンのブランドとも言えるマロングラッセ的な愚痴の処方として示威を勧めた。

 そう言えばと
 花売りの劇団依頼座の女座長が社交界にデビューしたロイヤルアスコットの下見所では虚勢を張る牡馬に一度は乗ってみたいと思いながらショーほど素敵な商売はないとセント・バーナード犬に頬擦りをしたり子犬を連れた知恵の豊富な貴婦人が内助の功はもうほどほどにと言わんばかりに夫に内緒でカーネル揚げの雄鶏のもも肉を口に入れてはペッティングとベッティングは紙一重でありケンタッキーの我が家では絶対に出せない味なのだと夫を荼毘にでも付すかのように言い放っていたのを将校シンプトンは苦々しく思い出していた。

 将校シンプトンの故国・嬰国のレトロな電灯の燈されているむかし通りの劇場ではギネスのレコード・ブックに目を通しながら長距離ランナーの孤独を噛みしめて鵞鳥の母を瞼の裏にイメージした白鳥がロング・ロングランを続けていた三匹の盲目の鼠が惹き起こしたアカサタナ殺人事件に図らずも巻き込まれてしまったことを知った将校シンプトンは友人クリスと最後のティー・パーティを済ませ後に落ちてしまった哀愁のロンドン橋を渡りに船とばかりに霧のチャリング・クロスから旅立った。

 流れていく車窓の景色を眺めながらなんとなくクリスタルな殺人事件だったという思いを抱いた将校シンプトンが中世の面影を色濃く残す教区の市況の調査結果を参考にカンタベリーを苺ジャムにした物語を頭に浮かべつつ来し方を錨をもって振り返っているうちに五里霧中のドーバー海峡が見えてきた。

 カレーでオリエント急行を途中下車した将校シンプトンは市民のロダンと東洋的な旧交を温めに動物学の獅子河馬部を訪ねた後でイスタンブールのブルーなロンドに乗せて踊るエロチックなベリーダンスを腹ハラ土器ドキしながら見物しようと思ったがトルコ風呂の名所が槍玉に上がっていたので自重して巴里のアメリカ人とともに赤い風車のパンダのカンカンで我慢しようと思い再びパリ行きの列車の人となった。

 雨の朝パリに死ぬのはシェルブールの雨傘を持ち歩かないからだとイケタケダカにすまし顔で言い放つ理代子が創り出したベル薔薇のオスカルには取り付く暇もないと感じた将校シンプトンはサルトリイバラの冠を戴くワイルドな男たちと共に互いの身体にサロメチールの塗り愛ごっこをしてはサロン演劇に耽っているうちに銀の盆に乗せられたドリアンの味にも似た灰色の肖像に魂を奪われていった。

 オリエント急行のコンパートメントで男と男の愛が紡ぎ出すネバー・エンディング・ストーリーを描き出す万華鏡を覗いているうちにいつしか眠りに落ちていった将校シンプトンが夢の中でも万華鏡を廻し続けていると太った豚を食べている痩せたソクラテスが顕われて灯台もと暗しな胡散臭い話は五月蝿いからいい加減にENDEにしろとウィンクをしながらファルコンに乗って消え去っていった。


 追記:
『戯作 旧式言語空間飛行遊戯』は私のHP『夢幻のスペース・オデッセー』掲載作品を手直ししたものです。
ページ右側のリンク欄から立ち寄っていただけると嬉しいです。


心象風景の画像のある「夢幻のOdyssey(オデッセー)」と「for BLOG_心象風景」はこちらです。↓

  夢幻のOdyssey(オデッセー)

  for BLOG_心象風景

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