続「Salvador Dali & Alice Cooper」

Screamin' Jay Hawkins-01a
Screamin' Jay Hawkins-01a posted by (C)トロイ


サルヴァドール・ダリとロックについてのページがあったので貼らせていただく。↓

  サルヴァドール・ダリとロック音楽の関係

『サルヴァドール・ダリは、楽器を持たないロック・スターだったのだ。』の〆のフレーズに、常套的な言い回しでカッコつけているなぁと思いながらも、私も同感(^^♪


私のBLOGの記事「Salvador Dali & Alice Cooper」の中で、私は「shock-rockerの始祖アリス・クーパー」と書いてしまった。
彼に先立つ「shock-rocker」と言えば、
shock-rockのパイオニアと目されているScreamin' Jay Hawkinsがいる。

彼の代表曲の一つに "I Put a Spell on You" がある。

この曲は、JIM JARMUSCHの映画「Stranger Than Paradise」の冒頭の部分で使用されいる。↓

 「Stranger Than Paradise」

下高井戸の映画館だったと思うが、30年くらい前にこの映画を見て、私はJIM JARMUSCHの名前を頭に刻み込んだ。
そして、ジャズのサックス奏者JOHN LURIEを知ったのもこの映画であった(^^♪

この映画以降であろうか、映画やドラマなどで、"(I) Put a spell on you!"という台詞が時々出てくる。


Screamin' Jay Hawkins_"I Put a spell on you!"↓

 I Put a Spell on You 

蛇足になりますが、この場合の "spell" は、「呪文,、まじない。 魔法、魔力」です。


おおよその歌詞は、だいたい、こんな感じで、

I put a spell on you because you're mine
You better stop the things that you do
I ain't lyin', no, I ain't lyin'
I just can't stand it babe
The way you're always runnin' 'round
I just can't stand it, the way you always put me down
I put a spell on you because you're mine


と、いわば、嘆き節。




いろいろな歌手やバンドによってこの曲は歌われ、カバーされている。各自の好みの歌手やバンドの映像と聴き比べてみるも面白いかと思う。

たとえば、The AnimalsとかJoe Cocker。↓

 The Animals

Joe Cockerのには、歌詞がsub.されている。↓

 Joe Cocker


逆に、よく知られている曲 "I Shot The Sheriff" をScreamin' Jay Hawkins が歌うとこんな風になる。

 I Shot The Sheriff


次の曲 "Feast Of The Mau Maus" はどうだろう?

 Feast Of The Mau Maus


彼の曲を聴いても、どこがショック・ロックなのかと首を傾げるかたもいるかもしれない。



では、ものは試しということで、彼のライブ映像を見てほしい。

 "I Put a Spell On You" (Merv Griffin Show 1966)

一本見れば、十分かも知れないが、上のTV番組の映像よりも彼のパフォーマンスの雰囲気がわかるのはこちら。↓

 "I Put a spell on you!"

Screamin' Jay Hawkinsがドラキュラ伯爵よろしく棺桶に入ってステージに登場する、東京でのライブの映像。↓

 Screamin' Jay Hawkins_Tokyo 1990
 


もう少しScreamin' Jay Hawkinsについて知りたいかたには、このページがいいのではないかと思う。↓

 スクリーミン・ジェイ・ホーキンス




では、〆はこの曲で↓

 Screamin' Jay Hawkins_Voodoo



追記:

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Salvador Dali & Alice Cooper

SALVADOR DALI & ALICE COOPER-06
SALVADOR DALI & ALICE COOPER-06 posted by (C)トロイ


私のブログのショート・ストーリー『★「影」★』に載せた画像にいただいたコメントにレスを書いたとき、私はダリとshock-rockerの始祖アリス・クーパーとの間の「クーパーの脳」(sculpture )をめぐる有名なエピソードを思い出した。

  ★「影」★


サルヴァドール・ダリはアリス・クーパーの大ファンだった。
wikiによれば、「ダリがアリス・クーパーのショウに出演を懇願し、実現した」とある。


1973年4月。
ダリがクーパーとN.Y.C.で会ったとき、ダリがクーパーに、これが「クーパーの脳」だと言ってスカルプチャー(sculpture )手渡した。(下記のリンクに画像があります)
それに対してクーパーは応えた。
「うわ~お!こんなもの(自分の脳)が手に入るなんて、考えてもみなかったよ」

これが、後のダリのホログラム‘First Cylindric Chromo-Hologram Portrait of Alice Cooper`s Brain.'の制作へとつなっがっていく。

詳しいことは、英語のページですが、興味のあるかたのご参考になればと思います。↓

 When Alice Cooper met Salvador Dali

これも英語のページですが、ダリのホログラム‘First Cylindric Chromo-Hologram Portrait of Alice Cooper`s Brain.'の制作に関する詳細を知ることができます。↓

 about "First Cylindric Chromo-Hologram Portrait of Alice Cooper`s Brain."

クーパーとダリの共同記者会見の模様の映像もあった。↓

 Alice Cooper and Salvador Dali



私が"ブックマーク"に入れているダリとクーパー繫がりの映像『Destino』がU-tubeにある。

 "Dali and Disney meet Alice Cooper~Steven" ↓

 Dali and Disney meet Alice Cooper~Steven


もしかしたら、ダリは、こんなクーパーのライブが好きだったかもしれない。

 アリス・クーパー エスケープ (ライブ 1975)↓

 アリス・クーパー"エスケープ"



アリス・クーパーとマペットたちが競演する↓

 Alice Cooper - Halloween on the Muppet Show(This show was first aired in 1978.)

 Alice Cooper - Halloween on the Muppet Show


昨年(2013年)のクリスマス・シーズンにD-lifeで放送されたものには、Lady Gagaが登場(^^♪

 Lady Gaga & The Muppets Holiday Spectacular



最後に、
アリス・クーパーを私が最初に知ったのは、ラジオから流れてきたこの曲であった。

ALICE COOPER - School's Out (1972 UK TV Top Of The Pops Performance)
それを、いま、映像で見ることができるなんて…)^o^( ↓

 ALICE COOPER - School's Out



追記:

「shock-rockerの始祖アリス・クーパー」と書いたが、shock-rockerとしてのパイオニア的存在だったScreamin’ Jay Hawkinsがいたのを忘れていた。
後日、補足としてそのことを少し書いてみたい。


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★「影」★

an enormous shadow of a flying body-03
an enormous shadow of a flying body-03 posted by (C)トロイ


 日中だというのに、物音ひとつしない街に私は立っていた。
「静か過ぎる。先ほどまでの街の雑踏は幻視だったのだろうか」
 宙を見上げると太陽がダイアモンドのように燦々と光り輝いている。それは太陽というよりは、いま誕生したばかりの新しい星と言ったほうが適切かもしれないほどの光の量を私の頭上に降り注いでくる。
「大きい太陽だなぁ。なんなんだよ、この眩しさは。まるで白熱の閃光体じゃないか」

 周囲に屹立する高層ビルディングは太陽の光を乱反射して、空を見上げる私の視界をますます狭めている。眩しい光のせいで眼の焦点が合わせにくい。物の輪郭がはっきりしない私の視野の中で、音も立てずに、黒いものが宙に翔び立った。
「鳥だ!」
 始祖鳥に似た大きな鳥が高層ビルの上空を旋回し始めた。
「なんだ、あの飛び方は。ゼンマイ仕掛けの玩具(オモチャ)じゃあるまいし」
 鳥がぎこちなく、機械的に翼を動かすたびに、ダイヤモンドミストのような光の粒子が尾をひいては消えてゆく。
「火の鳥にしてはさえないなぁ」
 鳥が鳴いた。今日は鳥の鳴き声までもどこか機械じみている。太陽、建造物、鳥、無人の街、無音の世界、すべてがいつもと様子が異なっている。
「夢だ。夢にちがいない」私は自分に言い聞かせた。
 もし夢を見ているのなら、眠りが浅くなったときに夢のストーリー・テラーともいうべき意識下の働きを私は感じ取れるはずでなのある。夢か現か、そのどちらとも判断しかねたまま、私は眼をつむった。

 瞼の裏に、突然、星が消滅への大爆発を起こしたかのような閃光が走った。反射的に眼を開けると、満ちあふれた光の中になにもかもが呑み込まれてしまっていた。まばゆい光だけがそこにあった。 
 光の洪水の中で、私は大気が微動するのを感じた。大気の振動は次第に大きくなり、まるで大地震のように高層ビルを揺るがせながら通り過ぎていった。私はおそるおそる宙を見上げた。大気の巨大な振幅に巻き込まれてバランスを失った鳥が、稲妻のような青白い閃光を放つと、一瞬のうちに消えていった。

 しばらくすると、物を識別できるくらいに光の量が少なくなってきた。クルマも街路樹も何もないコンクリートの街路がコールタールを塗り重さねられたように黒く光っている。相変わらず燦々と光り輝いている太陽と、その光を乱反射している高層ビル群が街の様相をさらに無機質で異様なものにしていた。




THE DAY:from Dali「La persistencia de la memoria」-04a
THE DAY:from Dali「La persistencia de la memoria」-04a posted by (C)トロイ


 動くものさえ無くなってしまった街、ひとの匂いのまったく感じられない街、物音ひとつしない静まり返った街…この街には影というものが見あたらない。
「ここはいったいどこなのだ。私はいつからここに立っているのだろう。なぜ、ここに立っているのだ」
 いくら考えてもわからない。私にわかっているのは、時計塔の大時計が10時10分30秒を指して止まったままになっていることだけであった。

「オマエは軍部による生体実験のことを聞いたことがあるか」
 どこからか男性の太い声がした。その声はマスキングでもされたかのようにくぐもっていて、どことなく機械的であった。声は私の頭上の太陽から送られてきたように思えたが、空耳だったかもしれない。かつて私は軍事目的のために強制収容所で行われていた生体実験の大きなパネル写真を見たことがある。そのときの生々しい戦慄が私に蘇ってきた。

 激しい渇きを覚え、私は水をもとめて歩き出そうとした。しかし身体を動かすことができなかった。私は容易に出てこない唾を搾り出すようにして喉の奥に送り込むより他になかった。
 身体全体がヒリヒリしてきた。思わず天を仰ぐと、静止していた大時計の文字盤がゆがんでいる。大時計の長針と短針が融け始め、黒く糸を引きながら秒針の先から滴っているのが見える。粘り気のある黒い液体は、地上に落下すると、黄色の花弁となって周囲に飛び散った。

 人影もなく物音ひとつしないこの街が不思議な菊の香りに包まれ始めた。
「人間は菊の匂いがしませんか」
 今度は女性の機械的な声が聞こえてきた。どうやら私の空耳ではなさそうだ。
 私は気がついた。私の周囲に満ちてきた菊の匂いは人間の匂いに他ならなかった。それもおびただしい死者の匂いだ。
 コンクリートの街路が黒いのは、いくえにも重なった人の影なのだ。なぜ私がここに立ったままでいるのかを自問自答する必要もすでに無くなってしまった。

 私は立ったままの姿で、ビルディングの壁に、影として黒く焼き付けられてしまっている。

 永遠に……


THE DAY:from Dali「The Disintegration of the Persistence of Memory 」-05c
THE DAY:from Dali「The Disintegration of the Persistence of Memory 」-05c posted by (C)トロイ





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a town of "innocence"

柿の葉-01
柿の葉-01 posted by (C)トロイ


 裸電球ひとつが天井からぶら下がっている殺風景な6畳ほどの部屋の中で私は調書を取られていた。
 私には取り調べられる理由がわからなかった。取調べといっても、この部屋が警察署の取調室とは違うこと、調書を取っているグレーのスーツ姿の係官が刑事や警察官ではないことだけは確かだった。

「名前は?」
「わかりません」
「分からないって事はないだろう」
「わからないのです。自分が誰なのか」
「記憶喪失を装っているんじゃないだろうね」
「いいえ、自分が誰なのか、名前がわからないだけです」
「ふーむ、年齢?」
「48歳です」
「住所?」
「じゅうしょ…じゅうしょ、わかりません。住所もわかりません。ただ…」
「ただ…、どうしたんだね」
「はあ、覚えているのは…、ええ、私は<Experienceの町>に住んでいました。その町は碁盤の目のように整然としていて、道幅もゆったりとしていました。信号などないんですよ。それぞれの家は、絵の具のチューブから押し出されたばかりの混じり気のない色のように鮮やかに彩られていました。庭の植え込みも工夫が凝らされていて、まるでポップアートの世界、そんな町でした」
「そんな町と言っても、それはどこにあるんだね」
「Experienceです」
「Experienceは町の名前だろう?」
「いいえ、場所です。その場所にある<町>に住んでいたのです」
「そんな場所があるのかね?私は聞いたこともないが…。それで?町の名は?」
「それで、ですか?え~と、町の名前…。私の生活も、この町に住んでいる他の人たちと同じように、社会的にも家庭的にも恵まれていました。美しい妻と娘と、俗な言葉になりますが、幸せに暮らしていたのです。そう、あの日までは……」
「その町の名前は…、それも覚えていないんだな。ま、いいだろう。で、その日にいったい何が起こったというのだね」
「その日は…それは白い光がことのほか強い夏の日のことでした。強い日差しを反射する川面のように、庭の柿の葉がきらきらと煌いていました。そう、柿の葉のグリーンのステージの上で、光の粒が水晶のように踊っていました。よく見ると、なかに黒ずんでいる葉があるのに私は気がついたのです。何かに惹きつけられたように、私はその葉を見つめていました。そんな私の脳裏に<魂>という言葉が過ぎりました。溢れるばかりの生命の光を謳歌するこの時季に、ひそっりと黒ずんでいる柿の葉。それは、私の心の中にありながら、それまで全く気がつかなかった暗いアンバランスな部分そのもののような気がしてきたのです。……」
「そのアンバランスとやらがどうかしたのかね」
「はい、私の心の中の暗い所、Experienceの光の届かないところに、私の<魂>があるのではないかと…」
「たましい、ねぇ」
「はあ、私の<魂>は、あの黒ずんだ柿の葉と同じようなものなのかもしれないと感じたとき、私の<心>は急に窒息状態に陥ってしまったのです。それは、私の<存在>そのものを根底から揺さぶりました。なに不自由なく暮らしてきた私の人生は、大空を飛翔することを忘れてしまった鶏の一生となんら変わらないことに気がついたのです」
「たましいとニワトリ、う~ん」
「そうなんです。鶏舎を出て庭で餌をついばむ鶏は、一見、自由のようでいて、実は自由とは縁遠いものなのです。ましてや、人々の口に入る鶏卵のため、あるいは食肉用として集中管理されている狭いケージの中の鶏にはもはや<魂>が自由に飛翔できる余地さえ残されていないのです。
 なに不自由なく<生きる>という日常の旗の下で、家族や隣人や同僚たちが光り輝けば輝くほど、<死せる魂>という概念が私の脳裏から離れなくなってしまいました。盛夏に黒ずむあの柿の葉や大空を飛べなくなってしまった鶏のことが…」
「こむずかしい話になってきたな。それで、柿の葉っぱやニワトリがどうしたと言うんだね」
「私の脳裏から離れなくなりました」
「それは分かっている。で、それから、どうしたんだね」
「そうして、私の<魂>は次第に社会、友人、家族から断絶していったのです。それは、さみしさとか孤独とかいうような言葉では到底表しきれないものでした。そうなんです。<存在>という舞台での<暗転>。<暗転>のまま、私の<魂>は行き場を失ってしまったのです」
「たましいの行き場ねぇー」
「いつの日からか、私は<漂白>ということにとらわれ始めました。<暗転>の次のシーンを求めて…、その先に私の心が求めているものがあるのではないかと思い、私の<魂>はさすらい始めたのです。<さすらい>、それが私の<魂>の救済になるかもしれないというかすかな望みが湧いてきたのです。いま私が捜し求めているもの、それは、<Experienceの町>とは違うやさしい淡い光につつまれた<innocenceの町>なのです。その町で生きていくことが私の<魂のルネサンス>になるのではないかと…」

 私は口を閉ざした。ここまで話せたということで、私の心にかかっていた錘が外され、少しは楽になったような気がした。

「分かりました。<魂のルネサンス>のお手伝いをさせていただきましょう。あなたは<Innocenceの町>に行きたい。そこまでお送りしましょう」
「ありがとうございます」
 私は深々と頭を下げた。


 この町に来てから、どのくらいの月日が流れたのか私は知らない。わかっていることは、この部屋にいる人たちがみな、<魂のルネサンス>を求めてここに来たということだけだ。

 私は白い大きな部屋のウインドウから広々とした庭を眺めている。鳥の姿はときどき目にすることができるがさえずりや鳴き声はまったく聞こえてこない。窓ガラスが極めて厚く、外界の音がこの部屋には入ってこないのだ。

 金属製のドアの施錠が外される音がして、黄色いユニホームの女性たちが部屋に入ってきた。この<innocenceの町>の住人たちに、彼女たちは色とりどりのタブレットやカプセルを手渡していく。
 ここでは、薬を飲むための水は用意されていない。住人が口に含んだ錠剤やカプセルを苦労しながら呑み込んだことを確認すると、彼女たちは確かな歩調で次の住人のところに歩んでいく。


 …もうじき私の番がくる。



Green Mansion-01a
Green Mansion-01a posted by (C)トロイ




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象の毛のブレスレット

milky way-05
milky way-05 posted by (C)トロイ

 さすがに北極圏の近くだ。夏だというのに降りしきる雨は冷たく、濡れた足元から寒気が襲ってくる。
 クルマはたまに通るだけ。右の拳に親指を立ててヒッチの合図を送っても止まってくれやしない。そりゃぁ、そうだろう。運転している側からすれば、雨に打たれて長髪はグショグショ、身に着けているものはヨレヨレのオレを見れば、同情心より警戒心あるいは猜疑心のほうが先に立つに決まっている。

 雨はますます烈しくなり、オレはずぶ濡れ状態のドブネズミといったところだ。寒さは骨にまで達してきた。
「やばい、このままじゃ、ぶっ倒れてしまう」
 珍しくオレは弱気になった。オレは大声で歌い始めた。どうせ、誰も聴いてやしない。

   Que sera, sera
   Whatever will be, will be
   The future's not ours to see
   Que sera, sera
   What will be, will be

 しばらくして、雨で煙る道の先に黄色いヘッドライトが見えた。神に祈るような気持ちで、オレはヒッチの合図をした。白いVWだった。VWはオレを無視して通り過ぎていった。
「ダメか」と諦めたとき、クラクションが2回鳴った。
 100㍍ほど先にVWが止まってくれている。オレを待っている赤いテールランプ。オレはVWに駆けよった。
「ありがとう、助かりました。A市まで行きたいのですが」と窓越しにオレは丁寧に言った。
 クルマの中の男が、右手で「乗れ!」と合図をし、身体を伸ばしてドアを開けてくれた。

 暖房の入ったクルマの中は汚かった。床には菓子類の包装紙が丸められて散らかっていた。車内の空気も淀んでいる感じだった。それでも、先ほどまで雨に中で凍えていたことを考えれば、オレにとっては天国だった。

 男は70年代前半のヒッピーを思わす風体だった。肩まで垂らした薄い金色の髪、口の周りのひげがあごひげにつながっている。ジーザス・クライスト・スーパースターに出てきたような黄色のサングラス。汚れてはいたが、赤や青や黄で刺繍の施されたインド綿の軽そうな白いシャツ。渦巻き模様の刺繍がしてある、はき古したブルージーンズ。

 男は「勝手にしやがれ」のジャン・ポール・ベルモント風に口の左端に手巻きのタバコをくわえ、舌でタバコを右に動かしながら、オレに聞いてきた。
「寒かったろぅ。やるか?」と言って、男はウオッカのビンを右手で差し出した。
「いや、ありがとう」とオレ。
「じゃ、喫うか?こいつはイケルぜ」
 雑に手巻きをされた、いかにもといった感じの "a cigarette made by rolling tobacco by hand"!
 オレは「ヤバイ」と思った。のっけからのこの"やりとり"になにか引っかかるものを感じた。
「なにか、音楽をかけてくれませんか」 
 オレは話題を変えたかった。
「ああ」と言って、男はビートルズの「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」をかけた。
 "hashish"といいこの曲といい、状況はますますマズクなるいっぽうだ。男の思惑がオレには読めない。

 男は運転しながらオレの指先をチラッ、チラッと見ている。男が言った。
「ちょっと悪いが腕を見せてくれ」
 オレは疑われているのがわかった。なにがって、それはアレさ、ほれ、映画のシーンによくあるじゃないか。
 オレは口が重たくなってしまった。黙り込んでいると変に思われるかもしれないので、オレはビートルズの曲について話してかけてみた。男はビートルズよりもローリングストーンズのほうが好きなようだった。

 なんとか話を繋げながら、小一時間ほど走ったとき、
「ちょっと寄るところがあるので、つき合ってくれ」
 そう言うと男はハンドルを左に切った。クルマはなだらかな丘を上っていった。丘のうえに灰色の建物が見える。
 建物の正面にクルマを止めると、男はオレに降りろと促した。

 建物の中に入ると、男たちがオレをじろりと見た。まったくもってイヤな感じだ。
 こっちだ!と男がオレに合図をした。オレは男に従って階段を上り、2階のいちばん奥の部屋に入った。がらんとした部屋だった。
(なんに使う部屋なんだろう?)
 オレは部屋を見回していた。
「パスポート」と声がした。
 オレが差し出したパスポートのページをめくりながら、男はチラリチラリとオレの目を見た。
「Komm!」と男が右の人差し指でオレを招いた。
 男は「使用中」の名札が出ている部屋の鍵を開けると、オレに入れと促した。部屋に入ると、オレの背後でドアの鍵がかけられた音がした。
 所持品のチェックもなかったし、身に着けているものの検査をされたわけでもないからたいしたことはないだろうと思いつつも、やはり不安が過ぎった。

 部屋の中には黒人がひとり、窓際の椅子に腰をかけていた。彼と目が合った。オレは軽く会釈をした。彼は椅子から立ち上がると両手を広げてオレに近づき、オレを強く抱きしめた。そして耳元にささやくように言った。
「マイ・フレンド、よく来てくれた。君にあげたいものがある」
 何がなんだか、オレにはサッパリわからない。
 彼は挨拶のハグ(hug)の腕を解くと、左手首から黒くて細い針金のようなブレスレットをはずした。
「これをつけろよ。幸運のお守りだ。なんたって、伝説になるくらい長生きした巨象の毛なんだぜ」
 彼は左目でウィンクするとオレにそれを手渡した。
「そんな、もらうわけにはいかないよ。もらう理由もないし」とブレスレットを返そうとした。
「ここで会えたのがラッキーっていうもんだ。なにも言わずにとっておけよ」
 彼は右手を上げて制止の仕草をしてから、彼が座っていた椅子のところに戻ってしまった。部屋の中に沈黙の錘が垂れてきた。

 夜になった。といっても外はまだ明るい。どうやら雨はあがったようだ。
 ドアが開いて制服の男が黒人に来いと促した。黒人は部屋から出て行った。部屋のドアが閉まる瞬間、黒人が言った。
「銀河で会おうぜ!マイ・フレンド。」
(銀河で会う?)
 オレにはそれが何を意味しているのか見当もつかなかった。
 しばらくして、オレをここに連れてきたヒッピー風の男があらわれた。
「ツイてるな。帰れるぞ。A市まで送ってやる」
 オレは象の毛のブレスレットを左手にはめてみた。

 オレはパスポートを受け取ると、男といっしょに建物の外に出た。
 クルマが走り出した。車内はあの状態のままだ。
 オレは黒人のことを尋ねてみた。
「ニガー?」
「ええ、私が入れられていた、使用中の札がかかっていた…あなたが鍵をかけたあの部屋にいた人です」
 男は怪訝な顔をした。

 しばらく沈黙が流れた。

 男はオレに気を使ってか、それともその話題には触れたくないからなのか、A市に着くまで映画や音楽あるいはイタリア旅行のことなどをひとりで話し続けた。

 A市のセントラムで私はクルマを降りた。
 白夜の街をトラムが走っている。人々が歩いている。

 雨の名残りをとどめている街角にたたずみながら、オレは黒人の言ったことが気になってしかたがなかった。
  「銀河で会おうぜ!マイ・フレンド」
 オレは幻影を見たのだろうか。でも、ブレスレットはここにある。

 昏くなり始めた空を見上げると、ひときわ美しいミルキー・ウェイがかかっている。なぜか黒人がそこからオレを見ているような気がしてならなかった。


 お守りの象の毛のブレスレットは銀河によく似合う、とオレは思っている。いまでも、とくに冴え冴えとした冬の "milky way" を眺めると、あの日のことを思い出す。



spiritual domain(B)-03
spiritual domain(B)-03 posted by (C)トロイ




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beneath the moon or under the sun

desert-04
desert-04 posted by (C)トロイ

     目を覚ますと
     沙漠だった
     宙のドームに
     流星がしきりに降っている
     大きな可不可の歯車が湿った砂を吐き出しながら
     うなっていた



海溝a
海溝a posted by (C)トロイ

     目を覚ますと
     海底だった
     海のベールに
     銀漢が永い尾を垂れている
     大きなシャコガイがemerald greenの口を開けながら
     まっていた



those fellows_the Black sun
those fellows_the Black sun posted by (C)トロイ

     目を覚ますと
     葱畑だった
     黒い太陽に
     催涙ガスが四囲に漂っている
     大きな坊主頭たちがこちらを見つめながら
     わらっていた



from 「パンドーラー」 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
from 「パンドーラー」 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス posted by (C)トロイ

     私は目を閉じた
     どうやらここは
     夢というパンドラの箱の中らしい
     しだいに空気が薄くなってくる
     大きな闇が地に覆いかぶさりながら
     うめいていた



Scene from the inside of the Pandora's box-01
Scene from the inside of the Pandora's box-01 posted by (C)トロイ

     私は目を開けた
     どうやらここでは
     空が 海が
     希望が
     光が
     しだいに遠くはるかになっていく

     私の脳裡に
     大きな琉吞の目が虚ろな空を見上げながら
     うかんでいる



from Redon_「眼は奇妙な気球のように無限に向かう」-01
from Redon_「眼は奇妙な気球のように無限に向かう」-01 posted by (C)トロイ





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想い~ballad of white and green~

longing
longing posted by (C)トロイ


     白南風(しらはえ)の
     あなたの
     夢をはこんできてくれるの? こちに…
     心が伸びやかそうでいいなぁ きみは
     窓辺のアレカヤシくん

     白い日傘の
     あなたに
     愛しさが日ましにつのるよ こちの…
     心が軽やかそうでいいなぁ きみは
     水鉢の布袋草くん
     
     白い光の
     あなたに
     日々の思いをどう伝えよう こちは…
     心にうるおいをもたらす きみは

     わたしの…タビビトノキ


calling-04
calling-04 posted by (C)トロイ



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プロフィール

KJYD

Author:KJYD
来てくださったかたがたに、そして『拍手』をしてくださったかたがたに、心から

Alles Gute!

どうもありがとう。


*東京散歩の写真、「心象風景」や「ショートストーリー」そして「575の宙に」などに用いた画像など、『フォト蔵』にアルバムとしてアップしてあります。
よろしくお願いいたします。

Thanks a lot.


お願い:

*フォト蔵の画像保存機能の不具合により、ブログに用いた画像の一部が非表示になってしまうことが度々あります。

 非表示になってしまった全ての画像をフォト蔵で再保存してブログに再表示させても、また、他の画像や同じ画像が非表示になってしまいます(T_T)

 非表示になっている画像がありましたらコメント欄などで教えていただけると有難いです。

 よろしくお願いいたします。

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