夢のかたち~Gone With The Dust~

from Rene Francois Ghislain Magritte_The ready-made bouquet
from Rene Francois Ghislain Magritte_The ready-made bouquet posted by (C)トロイ


 その喫茶店は駅裏の古びた雑居ビルの地下1階にあった。暗い階段を下りきると、右側に入口があった。ドアを開けて中に入るやいなや、かび臭い空気が鼻腔を刺激した。それは、手拭きとして出される熱いタオルを鼻に当てたときにぷーんと臭う、あのすえたような臭いに似ていた。

 店は電車の車両のように細長かった。幅は2mほど、奥行きは10mほどだった。壁にはフェルトのような暗緑色の壁紙が貼られていた。壁紙のあちらこちらに大きな染みがあり、見ようによってはムンクの「叫び」のような顔に見えるものもあった。4人がけの古びた黒い木製のテーブルが5卓、ピタリと壁に張り付いたように置かれていた。
 客はいなかった。奥の壁にピタリと引っ付いたように置かれている業務用のエアコンが冷風を噴き出しながら、かび臭い空気を掻き混ぜていた。

 私はエアコンのそばのテーブルに席を取った。エアコンの風がテーブルの表面に反射して、私の顔を撫でながら頭の上を通り過ぎていった。
 オーナーだろうか、某ジャズシンガーに何処か似ている白髪の男がメニューと水を持ってきて、テーブルの上に無造作に置いた。コップの水がその濁りを深めるかのように揺れていた。
「いらっしゃいませ。ごゆっくりと、どうぞ」
 霧の中から聞こえてくるような声だった。まるで言葉が壁紙に吸い込まれていくかのように、男は奥のキッチンのほうに戻っていった。

 私は赤茶けたビニールカバーのメニューを開いた。
「ある!」私は思わずつぶやいた。
 それを耳にしたのか、男がオーダーを取りにきた。私は<デスカフェ>を注文した。

 ものの1分も経たないうちにオーダーしたものがテーブルに置かれた。褐色のカップとソーサー。紫がかったチョコレート色の液体から甘いアロマがゆらゆらと立ち上っていた。私はカップを手に取ると、おもむろに口をつけた。ビター・スィートの痺れるようなテイストが口中に広がっていった。

 三口目あたりから、私は冷房の風を生温く感じるようになってきた。省エネのために送風に切り替わったのだろう、そう私は思った。エアコンの風の音に混じって、男の声が聞こえてきた。
「死神の存在を信じていますか。<死神?…見たことも会ったこともないものをどうやって信じろって言うんだよ>。あなたはそう思っていますね」
 私はなにか言おうとしたが、舌が痺れてしまったのだろうか、口をきくことができなかった。
「あっ、やはり、あなたは死神を信じてはいない。あなたが気がつかないだけなのです。死神は人々の周りにいて、乗り移りやすい人を探しています。死神はそれと分かってしまうような姿をしていません。後ろにいる人が実は死神かも知れませんよ」
 ぎょっとして私が振り向くと、いつの間にか、ウエディング・ドレスの女性が後ろのテーブルの席に座っていた。私の背筋を冷たいものが走った。その女性にはどこかしら見覚えがあった。

「知っている人が死神だった、ということがよくあるのです。両親だと思っている人たちが実の父母ではなく、妻だと思っている女性が妻ではなく、友人が友人ではなく…みな死神だとしたら」
「……」
「バカな、そんなことあり得ない。そうあなたの顔に書いてあります。死神の存在を信じていない人が多いほど死神にとっては乗り移る人を探し出しやすいのです。身近な人に乗り移れば、死神であることを知られずにすむ…そうは思いませんか?」
 私は言葉を発しようとしたが、言いたいことが喉に張りついてしまってどうしても言葉にならなかった。

 エアコンから吹き出す風向きが変わったようだ。

「ある日、突然、人が何の痕跡も残さないでその姿を消してしまう。その人がどこかで生きているのか、それとも死んでしまっているのか、生死さえも分からない。昔はそれを神隠しにあったと言っていました。人間蒸発だとか、近頃ではUFOに乗ってやってきたエイリアンの仕業だとも言われている、あれです」
 男が何を言いたいのか、私には分からなかった。

「あれは<神隠し>ではなく、<死神隠し>なのです。<死神隠し>を出来るのは、死神の女王ただひとり。もちろんエイリアンの仕業などではありません」
(死神は男だろう。それを女王だなんて…ミツバチじゃあるまいし)
 声を出せないままだが、私の脳が働き始めてきた。

「死神隠しにあった人の魂はあの世で死神の仲間になります。魂は姿かたちのないまま、あの世を彷徨い続けなければなりません」
(さまよえる魂だなんて、いまさら…)
「この世からはあの世を見ることはできませんが、あの世からはこの世を見ることができるのです。あの世からこの世を眺め、この世の家族などにしてやりたいことがあっても、なにもできません。話しかけることさえできないのですから、それがどんなに辛いことなのか」
(やれやれ、抹香くさい精神論かよ)

「ま、それはそれとして、あの世で死神の仲間になった魂はこの世で乗り移る人を探しています。一定の時間内に人に乗り移れなかった魂は、暗い冥府を彷徨いながら、やがてはあの世からも消えてしまう。これは魂にとってもたいへん怖ろしいことなのです。その魂は、できるだけ早くこの世の人に乗り移ろうとします。そして、冥府を彷徨う魂がこの世に再び戻るときにひとつだけ制約があります。男性の魂は男性に乗り移ることはできません。女性の魂も女性には乗り移れません」
(だから、どうしたっていうんだ)

「死神になった魂に乗り移られた女性はすでに女性ではなくなっています。乗り移られた男性もすでに男性ではありません。あの人の性格が変わったとかあの人に騙されたとか…よく言われるでしょう。この世の人々はその人たちがまったくの別人になってしまっているのに気がつきません。そして、自分自身さえもいつのまにか別人になっていることすら気がつかないのです。死神の女王の<死神隠し>は見事なまでに成功しています。個人の諍いなどが民族や国の争いになり、テロや戦争になればそれこそ死神の女王の思うつぼにはまってしまいます。核戦争が勃発すれば、死神の女王の高笑いがこの地球上に鳴り響くでしょう」

 私の脳細胞が再び霧に包まれ始めた。ぼーっとして天井を見上げると、暗い天空から吊り下げられた大きな剣の刃先が間近に見えた。刃先からは時々稲妻のような光が奔った。剣は核弾頭を搭載したミサイルが姿を変えたものに違いない、そんな気がした。
 ノストラダムスの予言は外れたが、地球を滅ぼしてしまうような核戦争の恐怖はまだまだ私たちの頭上にぶら下がっている。そんな思いに私は捉われ始めた。
(すべては死神の思うつぼっていうわけか。…アポカリプス。地獄の黙示録…)

「死神の女王について、あなたは知りたくなった。そんな顔をしていますよ」
 私の心の動きを見透かしたように、男の声がまた語りかけてきた。
「死神の女王がどんな姿をしているのか、それは誰も知りません。男の姿をしているときもあり、女性のこともある。あるときは老人だったかと思うと、次のときには子供の姿をしていたり…。死神の女王がどのようにして<死神隠し>を行うのか。その話はあまりしたくありません。というよりは、知らないほうがよいでしょう」
 ダメだと言われると聞きたくなってしまう。
「どうしてもお知りになりたい。そうですか。ま、いいでしょう。その話をする前に、アドバイスをさせてください」
(変にもったいをつけるなぁ)
 私には男の言葉のトーンが変わってきたような感じがした。 
「その人が死神に乗っ取られているかどうか、その見分け方をお教えしましょう。きっと役に立つはずです」

 私は私の後ろの席に先ほど現れたウェディング・ドレスの女性のことが気になリ始めていた。
 彼女の肉体も死神に乗っ取られていたのだろうか。そうだとすると、彼女はもはやリアルな女性ではなく、他の男性の魂を持った女性の肉体的存在ということになる。彼女になにかしら変化を感じ取ったフィアンセが抗いがたいマリッジブルーになってしまい、結局、婚約が破棄されてしまったのだろうか。でも、あの女性に見覚えがあるのはなぜだろう。
 
「いいですか。まず、その人の左目を見つめるのです。左目ですよ。食い入るように見つめていると、あることに気がつくはずです。それは人間とは眼の色が違うとか、眼が異様に光って見えるとか、そんな映画の中のようなことではないんです。死神かどうかを見きわめるこつはその人の瞳孔の奥を見ることにあるのです。瞳孔の奥に小さな白いされこうべが見えれば、その人は死神です。死神の女王の場合はされこうべの瞳孔の奥にさらに小さな白いされこうべが見えると言われています」

 そんな子供だましのような話のどこがアドバイスになるのだろうか。この男の声がなぜ聞こえてくるのだろう。考えてみれば妙なことだらけだった。私が男の話に疑問を抱き始めたとき、私の思考の回路がショートしてしまった。

「どうです。ためしにこの眼を覗いて見ませんか。なにも取って食おうなんて言っているのではありません」
 エアコンの風がスクリーンのようになって、私の眼の前に大きな眼が映し出された。その眼には見覚えがあった。
(ルドン?!)
 「眼の気球」に描かれているあの眼にそっくりだった。眼の向きが変わって、私と視線があった。なにかに誘われるように、私はその眼に見入ってしまった。

「そう、それでいいのです。この眼の瞳孔の奥に何か映っているでしょう。…なにも見えませんか。半信半疑で見つめているのでは、いつまで経ってもされこうべは見えません。されこうべを見てみたかったら、まず、死神がこの世に存在すると信じることです。死神の女王を見分ける能力が自分にはあるのだ、そう自己暗示をかけることです」
 催眠術にかかってしまったように、私は食い入るように瞳孔の奥を見つめた。

「念力でスプーンを曲げるのをテレビなどで見て、それを試してみたことはありませんか。あの調子です。余計なことは考えないで、精神を一点に集中し、さあ、もう一度」

 ぼんやりとだが、瞳孔の奥に白い斑点のようなものが見えてきた。
「さあ、いかがです。まだ見えませんか。この眼の瞳孔の奥に白いされこうべが…」
(見えた!あれがされこうべか)
 その途端、周囲が様子が一変した。
(ここは、どうも喫茶店ではないらしい)
 私は不安に襲われた。

「よかった!やっと見えたようですね。これで、私の仲間になりました」
(なかま?)
「なんの仲間なのかよくわからない、ですって。困りますね、そんなことでは。たったいま、魂の<死神隠し>が起こったのです。あなたはいまあの喫茶店の座席で幽体離脱の状態になっています」
(幽体離脱だって!)
「先ほど、あなたは私の左目の瞳孔の奥にされこうべを見ました。それは死神の仲間になったあなたの姿が私の瞳孔の奥に映っていたのです。自分のされこうべを見た瞬間、あなたの魂はこの世から消えてしまった。あなたの肉体は、いまや、私のもの。そうです。これが<死神隠し>のひとつ、死神による<possession>です」

 私は死神のトリックにまんまとハマってしまった。このまま私は光のない冥府を彷徨い続けなくてはならないのだろうか。

「乗り移れそうな女性を早く探さないと、あなたは姿かたちの無いまま冥府を彷徨い、ついには暗黒の冥府の塵となって永久に消え去ってしまいます。グッド・ラック、マイ・フレンド!」
(じ、時間は、どれくらい?)
「……」
 返事はなかった。


 遠くで聞き覚えのある私の声がした。

「あなたは、もう、この世にはいないのです。…あなたは、もうこの世には…。あなたは…早く探さないと、…冥府の彼方(あなた)に…。…彼方に…。……」


from M.C.Escher_Oog(Eye)-02
from M.C.Escher_Oog(Eye)-02 posted by (C)トロイ



追記:

*私のHP『夢幻のスペース・オデッセー』に載せたものを少し手直ししました。

 夢幻のスペース・オデッセー

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*心象風景の画像のある「夢幻のOdyssey(オデッセー)」と「for BLOG_心象風景」はこちらです。↓

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夢魔の花嫁

エメラルドの森02_異界
エメラルドの森02_異界 posted by (C)トロイ


     真夜中
     体内のベルが鳴っている

     止められない わたし

     体内のベルになっている
     …わたし


     真夜中
     エッシャーの虫が這っている

     眼をそらせない わたし

     エッシャーの虫になっている
     …わたし


     真夜中
     迷宮のホタルが呼んでいる

     抗えない わたし

     迷宮のホタルになっている
     …わたし


     真夜中
     甘美な夜のアリアが聴こえる

     黒衣のわたし ウェディング
      
     終わりなき宙をさまよう
     
     夢魔の花嫁
     …わたし
     


追記:
私のHP『夢幻のスペース・オデッセー』の初稿に書き足したものです。

 夢幻のスペース・オデッセー

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愛のかたち~microcosm~

水の惑星
水の惑星 posted by (C)トロイ


     あなたの総てが
     私の視野と感覚のフレームに
     たえなる微笑みをたたえ
     おさまっている
  
     あなたから感じるもの
     ほのかな恥じらい

     あなたを輝かせているもの
     生きとし生けるものの息吹

     透きとおる瞳のきらめき
     醸しだされる爽やかなかおり

     私を和ませる Flora のほほえみ
     その温もりに目をつむる私

     あなたの<I>
     は
     私の<愛>

     あなたと私の<I>と<愛>
     私とあなたの<愛>と<I>

     あなたと私の microcosm


  ・・・琴笛よ名を呼び交わす春の月・・・




追記:

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愛の夢

 恋心を抱き始めたころ、私にもラブストーリーが書けるかもしれないと思っていた。だが、もともと人との付き合いが下手な私は好きな人の前に出ると変に固まってしまい、ラブストーリーの導入部にさえ入れないままで終わってしまうのが常であった。

 そんなある日、カレッジのミーティングでカフェ「モン・プチ」に集まったとき、私の斜め左横にひとりの女性が座った。こんなミーティングに幾度か出ているのだが、私は彼女の顔に見覚えがなかった。メニューを見ている私に彼女が囁くように言った。
「愛の夢」
「えっ?」
 私が彼女の方に向いたとき、彼女と眼が会った。吸い込まれそうな深い眼差しだった。その瞬間、私は固まってしまい、言葉を続けられなかった。彼女の瞳に私の顔が映っているのを見て、私のハートは完全に飛翔してしまった。

「真面目にラブストーリーを書こうとすると苦しいことが多いわよ。ラブストーリーは夢の世界に遊ぶようにリラックスして…」彼女は優しく微笑んだ。
(なんでまた、みんながいるこんなときに…)
 周囲の眼を感じて、私は自分が赤面していくのを感じた。
「大丈夫、誰も聞いてはいないわよ。ラブストーリーを育みたいとき、あなたの頭のどこかで、<真面目に、真面目に>と言う声がしてはいないかしら?あなたはその声に抗うことができないままラブストーリを書こうとしているんでしょう。ラブストーリーは、ね、自分が選んだ真面目な言葉とかきちんとした表現によって愛のエネルギーを失ってしまいがちなの。言葉をもっと自由に解釈して、言葉のもっている世界を柔軟に膨らましてラブストーリーを書いてみてはどうかしら。…そうすれば青空にかかる虹のように愛の夢を結ぶことができるのになぁ」
(夢なんか、所詮は夢にすぎないじゃないか)彼女が何を言おうとしているのか私には分からなかった。

 彼女の声には近しいものがあった。それは確かだった。
「そう。愛の夢は虹のように時間がたつと消えてしまう。でも、消えてしまうからといって、愛の夢を結ぶことを忌んだりしていると、いつまでたっても素敵なラブストーリーは始まらないんじゃない?なんとか書き始めても、硬くて、味気ないラブストーリーにしかならないでしょう。もちろん、そういうラブストーリーを好む人もいるわよね」
(私のラブストーリーは固くて味気ない…?)
「あなただけにしか書けないラブストーリーを書いてみたい。そう思ったら、愛の夢を結ぶトワイライトゾーンに足を踏み入れなくちゃ」

 私は頭が混乱してきた。自己暗示をかけるのが不得手な私には彼女の言うような愛の夢など育めそうもない。素敵に思えるラブストーリーにはいつも袖にされてしまうのが落ちなのだ。それは私がラブストーリーを書こうとするとき、鮨をサビ抜きでオーダーしてしまうから?それともサビを効かせ過ぎてしまうからなのだろうか。

「<愛の夢>は私のララバイ。とてもいい夢が見られるの」
 私をやさしく見つめる彼女の瞳が私の視神経を通って脳細胞を刺激する。
「いつも<愛の夢>を聴きながら眠るんですかぁ?」
 男のすっとんきょうな声が私の耳に入った。
「そう、素敵なラブストーリーのヒロインになって」彼女は男に微笑み返しをした。
 彼女は微笑みながら私にもウィンクをした。私はドギマギしてしまい、ふたたび完全に固まってしまった。

 みんなと別れると、私は<愛の夢>を買い求めるためにCDショップを訪れた。店員に尋ねると、クラシック音楽の棚かポピュラーのピアノ曲の棚にあるはずだと教えてくれた。

 クラシックのピアノ曲の棚を探していると、カバーが虹色のCDがあった。CDのタイトルは「愛の夢」。収録曲を確かめたくてCDを裏返して見たが、曲名も演奏者も入っていない。買おうか買うまいかを決めかねて何気なくCDケースの表を見たとき、私は「これだ!」と思った。
 光の加減なのだろうか。虹色のカバーから女性の顔がホログラムのように浮かび上がって見える。彼女の深い眼差し。吸い込まれそうな魅惑的な眼。彼女の顔に見覚えがあるのだが、いつどこで逢ったのだろう…彼女についてなにひとつ私は思い出せなかった。

「真面目にラブストーリーを書こうとすると苦しいことが多いわよ。ラブストーリーは夢の世界に遊ぶようにリラックスして…」女性の眼がそう語っているように私には思えた。彼女の瞳に私が映っているのを見て、私のハートは完全に飛翔してしまった。
 禁じられた品でも買うように、私はハートの高鳴りを必死に抑えながらキャッシャーの女性の前にそのCDを置いた。

 その夜、私は封を切ったばかりの「愛の夢」のCDを聴きながら眠りについた。甘いピアノの調べに誘われるように、私は愛の夢を結ぶトワイライトゾーンに入って行った。

 私は彼女との永遠のラブストリーを書き始めた。 素敵なラブストーリーを…愛の夢を…永遠に…


Liebestraum
Liebestraum posted by (C)トロイ


追記:

*私のHP『夢幻のスペース・オデッセー』からの転載です。

 夢幻のスペース・オデッセー

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*心象風景の画像のある「夢幻のOdyssey(オデッセー)」と「for BLOG_心象風景」はこちらです。↓

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Lady Moon

Lady Moon from 「月世界旅行」 by Marie Georges Jean Melies(2)
Lady Moon from 「月世界旅行」 by Marie Georges Jean Melies(2) posted by (C)トロイ

     月が 蒼い
     玻璃の靴の イヤリングが
     風鈴のように 冬の
     夜を 震わしていた

     月が 皓い
     真珠の涙の ネックレスが
     雨だれのように 秋の
     夜を 滲ませていた 

     月が 赤い
     翡翠のハートの ペンダントが
     卵のように 夏の
     夜を 孕んでいた

     月が 黄色い
     紅玉の蝶の リングが 
     横笛のように 春の
     夜を 奏でていた

     無月
     翔べないままの わたしが 
     案山子(scarecrow)のように 四囲の
     夜を 纏っていた



追記:

心象風景の画像のある「夢幻のOdyssey(オデッセー)」と「for BLOG_心象風景」はこちらです。↓

  夢幻のOdyssey(オデッセー)

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GABBA GABBA HEY !

RAMONESのT-シャツを頂いた。


RAMONES
RAMONES posted by (C)トロイ


SEX PISTOLS そして RAMONES。
パンクロックの代表格のT-シャツがそろってニコっ、ニコ(#^.^#)
どうもありがとう!


RAMONESについてのイントロ的なドキュメンタリー映像。デビー・ハリー(ブロンディ)のコメントもある。↓

 about RAMONES 


RAMONESと言えば、"GABBA GABBA HEY!"。
ステージとオーディエンスを一体化するためのスローガン(?) というか合い言葉というか…。

(ご参考までに)"GABBA GABBA HEY"で始まる曲♪PINHEAD♪↓

 PINHEAD

皮肉なことに、メンバー同士の仲はよかったとは言えないらしい。


RAMONESを知らない人も、たぶん、この曲は聞いたことがあるのではないかと思う。↓

  The Ramones' cover "California Sun"

その他には、
映画「FREAKS」(1932年)の登場人物を想わせる瞬間的ショットがある。↓

 Rock and Roll Radio

 *KISSによる"Do You Remember R'n'R Radio"にも、上述のRAMONESのミュージック・ビデオ♪Rock and Roll Radio♪のシーンが登場する。 ↓

   Do You Remember R'n'R Radio

そして、
この曲はどうだろうか。↓

 Blitzkrieg Bop


興味のある方には、ドイツでのRAMONESのライブの映像がある。(1978年。約50分)↓

 RAMONES LIVE in Germany 

RAMONESの持ち身であるシンプルで短いアップテンポの曲の連発は観客へのジャブの連続といったところだろうか。


先にちょっと触れたTodd Browningの映画「FREAKS」(1932年)はジョニーが好きだったらしい。↓

 映画「FREAKS」(ご参考まで)

日本では、ALI PROJECTがミュージック・ビデオ『凶夢伝染』のなかで映画「FREAKS」のシーンを瞬間的に使っている。↓

 凶夢伝染

ちなみに、『凶夢伝染』は、東京では2012年1月期に放送されたアニメ『Another』のオープニング・テーマ。↓

 アニメ「Another」第一話


話をRAMONESに戻すと、
MTVミュージック・アウォーズでU2のボノがRAMONESに敬意を表したり、U2のライブのMCでボノがRAMONESへの親近感を堂々と述べたりしているのを見ても、RAMONESの影響力の大きさがうかがえる。


では、〆はこれらの曲で、GABBA GABBA HEY!(^_-)-☆

ここでも、映画「FREAKS」の登場人物?を想わせる瞬間的ショットがある。↓

 映画「Rock 'n' Roll High School」-01

 映画「Rock 'n' Roll High School」-02
 

そして、オマケ。

 Spider-Man(アニメ)


次回のギターのレッスンで、
"GABBA GABBA HEY !"と言って最初の曲を弾きはじめたら、先生、目を丸くするかなぁ。

Yes !
         "GABBA GABBA HEY !"

          Yeah !

テーマ : ロック
ジャンル : 音楽

夢のかたち~根の国奇譚(4)_ニライカナイ~

  『桜の樹の下には屍体が埋まっている!』(梶井基次郎)

満開の櫻のもと、一年に一度、子の正刻(正子)の鐘が鳴るとき、ニライカナイへの道が開くと耳にしたことがある。
信憑性はないものの、信じてみるのも面白いと私はかねがね思っていた。

遠く縄文時代に、私たちの祖先が日々の生活を営んでいた地に湧いていた水がいまも流れこんでいる川で、その両岸の櫻が花のトンネルを形づくることがニライカナイへの道が開くための条件らしい。
その条件を満たしている思われる川に私は行ってみた。目が黒いうちに見ておきたい桜の花の名所のひとつとして挙げられているところだ。

ニライカナイが海のかなたにあるとしたら、ニライカナイへの道は下流から上流に向けて開くはずだと私は見当をつけ、湧水が流れ込んでいるすぐ近くの橋の上で子の正刻が来るのを待っていた。

into the night
into the night posted by (C)トロイ

子の正刻が近づいてくると、まるで私の周囲に結界が張られたかのように人影が途絶えた。街の音も聞こえなくなった。
いつ、どこにニライカナイへの道が開くのかは判るはずもなかったが、ともかく自分の勘を信じて、私は橋の近くにある階段の進入禁止の札がかかっている鎖をまたいでコンクリートの河岸に下りた。


遠くで、子の正刻の鐘が鳴り始めた。
川面からトンネルの入り口のような形をした灰色つぽいものが浮かび上がってきた。その大きな昏い口が川の水を飲み干し、川底が現れた。
(いまだ!)
私はその大きな口に向かって走りこんだ。
その瞬間、トンネルの口が塞がれ、周囲が真っ暗になった。

目が暗闇に慣れてくるまで私はじっとしていた。
しばらくすると、苔で覆いつくされたような切通しのような狭い道が静寂(しじま)の底から浮かび上がってきた。

黄泉路
黄泉路 posted by (C)トロイ

前方に少し明るいところがある。その光を頼りに私は歩き始めた。
途は手の入っていない山道のように凹凸があり、歩きにくかった。

わずかな光を頼りにさらに進んでいくと、エメラルドの原石のような鍾乳石が林立する洞穴に出た。

a passage leads to the Shangri‐La(2)
a passage leads to the Shangri‐La(2) posted by (C)トロイ

そのさらに奥に暗い口を開けている洞が見える。私は誘い込まれるように洞へと歩いて行った。

洞の中は私が思ったよりは平坦で歩きやすかった。遠くにグリーンのカーテンのようなものが見える。
(なんだろう?)
近づくと、水族館の大水槽のようなガラスに私は遮られた。ガラスの向こうには海草のようなものが群生している。

some embracement
some embracement posted by (C)トロイ

ガラスに右掌を当ててみると、鏡の国のアリスのように、手がガラスの向こうの水の世界に入っていく。手を通して海水の触感が伝わってくる。
(行ける!)
躊躇することなく、私はガラスの向こうの海の世界に入っていった。

海底なのに水を感じない。私の身体に鰓でも生えているかのように、楽に呼吸ができる。
海草の茂る海底は海面から差し込んでくる光で明るかった。水温も程よく、心地よかった。
なんだか、マナティーとかジュゴンがひょっこり顔を出しそうな…なんて思っていたら、【大アマゾンの半魚人】が\(◎o◎)/!
なんて馬鹿なことが脳裡を過ぎった。


海草の森を抜けると、珊瑚礁の崖みたいなところに出た。
崖の上から美しい島々みたいなものが見える。

islands of flowers in ニライカナイ-01
islands of flowers in ニライカナイ-01 posted by (C)トロイ

(ニライカナイ?!)

私は崖から足を踏み出した。立ったままの姿勢で私の身体はゆっくりと降りていく。
その下降感が何とも言えぬほど快かった。


島には様々な花たちが咲いている。

islands of flowers in ニライカナイ-02
islands of flowers in ニライカナイ-02 posted by (C)トロイ

見た事がある花たちなのだが、どこかしら異なるところがある。

islands of flowers in ニライカナイ-03
islands of flowers in ニライカナイ-03 posted by (C)トロイ

islands of flowers in ニライカナイ-04c
islands of flowers in ニライカナイ-04c posted by (C)トロイ


どうゆうわけなのか判らないのだが、花によって、昼の花あるいは夜の花のどちらかが咲いている。

islands of flowers in ニライカナイ-05
islands of flowers in ニライカナイ-05 posted by (C)トロイ

islands of flowers in ニライカナイ-06
islands of flowers in ニライカナイ-06 posted by (C)トロイ

flowers in ニライカナイ-11
flowers in ニライカナイ-11 posted by (C)トロイ

flowers in ニライカナイ-04
flowers in ニライカナイ-04 posted by (C)トロイ


昼の容と夜の容が並んで咲いている花たちもある。

islands of flowers in ニライカナイ-07a
islands of flowers in ニライカナイ-07a posted by (C)トロイ
islands of flowers in ニライカナイ-07b
islands of flowers in ニライカナイ-07b posted by (C)トロイ

islands of flowers in ニライカナイ-08b
islands of flowers in ニライカナイ-08b posted by (C)トロイ
islands of flowers in ニライカナイ-08c
islands of flowers in ニライカナイ-08c posted by (C)トロイ


私には昼と夜の花がシンクロしているように見えるのだが、もしかしたら、花を見る人(?)によっては昼の花たちか、夜の花たちかのどちらかしか見えないのかもしれない。

islands of flowers in ニライカナイ-09a
islands of flowers in ニライカナイ-09a posted by (C)トロイ
islands of flowers in ニライカナイ-09b
islands of flowers in ニライカナイ-09b posted by (C)トロイ

islands of flowers in ニライカナイ-10a
islands of flowers in ニライカナイ-10a posted by (C)トロイ
islands of flowers in ニライカナイ-10b
islands of flowers in ニライカナイ-10b posted by (C)トロイ


此処まで来ても、他の人たちの気配がまったくないのが不思議だ。ここが私が来てみたかったニライカナイなのだろうか。。

この花たちはなんのためにここに咲いているのだろうか。
この花たちはなにを滋養として咲いているのだろうか。

はるかな海の底…花の島々…Niemansland。

どこかしら聞き覚えのある声たちが私を包み込む四囲にエコーをする。

  『サクラノ キノ シタニハ シタイガ ウマッテ イル』

            ・・・・・・・・・
             ・・・・・
              ・・・
               ・


追記:

心象風景の画像のある「夢幻のOdyssey(オデッセー)」と「for BLOG_心象風景」はこちらです。↓

  夢幻のOdyssey(オデッセー)

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プロフィール

KJYD

Author:KJYD
来てくださったかたがたに、そして『拍手』をしてくださったかたがたに、心から

Alles Gute!

どうもありがとう。


*東京散歩の写真、「心象風景」や「ショートストーリー」そして「575の宙に」などに用いた画像など、『フォト蔵』にアルバムとしてアップしてあります。
よろしくお願いいたします。

Thanks a lot.


お願い:

*フォト蔵の画像保存機能の不具合により、ブログに用いた画像の一部が非表示になってしまうことが度々あります。

 非表示になってしまった全ての画像をフォト蔵で再保存してブログに再表示させても、また、他の画像や同じ画像が非表示になってしまいます(T_T)

 非表示になっている画像がありましたらコメント欄などで教えていただけると有難いです。

 よろしくお願いいたします。

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